TOMOIKU 共育-経営者が思う21世紀

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書道では「行書」と「楷書」で書き順が違う!子供に指摘されて考えた件

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知り合いの若者が結婚し赤ちゃんが生まれて、命名の色紙を書いて欲しいとのことで、書道を久しぶりにしました。

「行書」と「楷書」では書き順が違う

1年生の孫が夏休みということもあり、教えてあげようと思っていっしょに書いていたのですが、私が書いているものを見ながら孫が書き順が違うと疑問に思ったようです。

歳を重ねたことを理由にしてはいけないと思っていますが、PCばかり使用しているので「書く」ということも、以前よりも遠ざかっている上、いつも書きやすい書き順で書いているので、質問されるとわからなくなってきています。

例えば愛犬の名前である「若葉」の部首の「くさかんむり」も書き順が違います。

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なぜ、書き順の違いがあるかのか?ということは、中学生で習いますね。

書道の中でも、字体の違いによって書き順が違うのは、筆が運びがしやすいということは、「字」がきれいに書けるということに繋がるからです。

散々小学校で書き順テストをしているのに、書体によって書き順が違うということに子供に説明しても違和感があるようなのです。

まだ1年生の1学期なので、漢字は習っていませんが、覚えた字の書き順を適当に書くとそれが癖になり苦労すると思って注意していました。

しかし、書道では孫が疑問に感じている「正しい・間違っている」という問題ではないのです。

「行書」と「楷書」の歴史と文化庁「小学校学習指導要領」について

--ブリタニカ国際大百科事典--

楷書【かいしょ】

正書,真書とも。漢字の書体の一つで,一点一画を正確に書き,方正な形にまとめる書体。隷書から脱化して生まれたもの。漢末・三国時代ごろに芽ばえ,魏晋ごろに形成され,初唐に至って最も発達した。

行書【ぎょうしょ】

漢字の書体の一つ。楷書と草書の中間の書体で,楷書の点画をくずして,続け書きにしたような書体。中国,後漢の劉徳升から始ったというが明らかではない。隷書の速筆から生じ,東晋の頃には成立した。

 

文字の歴史を加えてしまうと、わかりにくいですね。

江戸期までは正式な漢字は続け書きをするのが「行書」、明治以降に突然正確に書くようになり、それが「楷書」です。

学校で教えているのは、文部科学省式の「教科書体」の書き順を基本としています。

「書道」を子供の頃から習っている子は書道教室で書いてきた「字」の書き順が違うので、子供にとって「正しい書き方」について混乱するとも言われています。

私も孫に質問されなければ、孫も見よう見まねで間違って覚えていたのかもしれません。

子供には昔からある書道は「楷書・行書・草書・隷書…」と様々な書体があって、字を美しく書けるようにするための筆の運び方が違うということをちゃんと伝えてあげなければ、漢字筆順テストで苦しむことになるのかもしれません。

「文化庁国語課」に同じ質問をされた方がいて、公開許可をいただいたということで、ほぼ原文で引用させていただきます。

文化庁国語課が拡散希望★「正しい筆順」のウソ | 【旧】書家 うどよし 和様「読める書」ブログ

 

「文化庁国語課」に質問をして回答をもらい、公開許可

現在の小学校学習指導要領・国語において「筆順」については、次のように書かれています。

第1学年及び第2学年
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
ウ 文字に関する事項
書写に関する事項

(2)書写に関する次の事項について指導する。
ア 姿勢や筆記用具の持ち方を正しくし、文字の形に注意しながら、丁寧に書くこと。
イ 点画の長短や方向、接し方や交わり方などに注意して、筆順に従って文字を正しく書くこと。

この記述について、「小学校学習指導要領解説・国語編」では、次のように説明しています。

「筆順」は、書き進む際の合理的な順序が習慣化したもののことである。
学校教育で指導する筆順は、「上から下へ」、「左から右へ」、「横から縦へ」といった原則として一般に通用している常識的なものである。
筆順は、中学年の文字の組立て方についての事項アや毛筆を使用する事項ウなどにかかわっている。

学校教育における筆順のテストというのは、教員の指導したことが定着しているかどうか確認するという性格のものですので、指導したものと一致するかどうかという観点で正誤をいうことが可能です。
指導した内容が「一般に通用している常識的なもの」である限り逸脱した指導とは言えないということになります。

国の筆順への関わり方についてですが、
国語施策として定めたものはないという言い方で御紹介ください。
さらに、教育においては、「筆順指導の手びき」が出されているが、「筆順指導の手びき」はあくまでも指導の参考であり、「本書のねらい」で明確に「ここに取り上げなかった筆順についても、これを誤りとするものでもなく、また否定しようとするものでもない。」と記されていること
を紹介していただく形であれば、「筆順指導の手びき」を出しているではないかという批判もおさえられると思いますので、ここまで含めて紹介していただいてかまいません。

<文化庁文化部国語課 電話:03(5253)4111 内線2842>

 

「ゆる文字 丸みのぬくもり」とは?読売新聞より
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私は30年前に設立した会社はイベントやデザインの企画会社でした。

その中で今でも納得いかなくて、「文字」については考えていることがあります。

パソコンがない時代だったので、売場での商品説明をするためのポップは、「POP文字」ですべて手書きでした。

そんな時、芸能人の宮◯◯えさんの文字を好む女性が多くなり、何と書いてあるのかさっぱりわからない文字であってもそれが「カッコイイ」という時代がありました。

しかし時代の流れは売上に反映されてしまうため、受け入れなければならないことでした。

結果、私や社員は文字を「汚く書く練習」をしなければならないことがありました。

POPは商品の説明をするものなので、そのPOPに何が書かれているかという事が不明でも良いものなのだろうか?…と、売場の担当者も納得いかなくても流行(?)では仕方がないという結論でした。 

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そして、2014年前後から「ゆる文字 丸みのぬくもり」ということで、気軽に楽しめる「ゆる文字」を筆ペンなどを使って書き、(描くという方が合っています)「丸みのあって柔らかい書体が特色で、心が和む」と、女性を中心に人気を集めています。

これは原型の文字を崩さないで、可愛く描かれています。

文字そのものをデザインしている可愛さと、文字としての目的である、何が書かれているかがわかります。

 

考えてみれば江戸時代から明治時代へと文字が変わってきたように、これからも時代を捉えた「文字」がいろいろ出現するのでしょう。

PCに慣れてしまった上、手書きで手紙を出す方が減少している今、イラストを描く絵葉書や、手書きで送られてきた手紙は、やはり印刷されたものよりも温かさを感じます。

 

手書きは、「相手への最高位の敬意の表れ」とも言われています。

「あの方…元気に過ごしていらっしゃるかしら…」と、ちょっと誰かを想ったら葉書で一言お伝えすることも、ステキなことだと思います。